@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000423, author = {笹生, 美貴子}, journal = {日本研究}, month = {Sep}, note = {『源氏物語』「須磨」「明石」巻では、源氏・明石一族の運命を切り拓いてゆく複数の夢が描かれる。とりわけ、源氏と明石入道・源氏と朱雀帝といった重なり合う二つの「夢」が軸となり物語を展開させている。, だが、それらは必ずしも当事者間で夢内容を共有していたわけではない「夢の共有/非共有の構造」という特異な傾向が見られることは注目される。最も注目される例として、明石入道は、「明石」巻において明石の浦から源氏のもとへ来訪した経緯について見た夢を源氏に話すが、明石御方出生の際に見た一族栄達の夢については、その現実がほぼ確実視(東宮第一皇子〔曾孫〕の誕生)されるまで源氏にも肉親にも語らなかったことが挙げられる。明石一族は、得た「夢」を一族で共有し語り伝えてゆくことでさらなる飛躍の道を辿ることができたのであるが、そこにおいて、「夢の共有/非共有の構造」が描かれる意味を明らかにした。, 本稿では、論を展開するにあたり、平安貴族社会において、見た夢を共有する現象が起こっていることについて着目しつつ、それを明石一族や源氏らの運命に深く影響を及ぼすこととなる複数の「夢」に当てはめることで見えてくる世界について考察を試みた。, 平安貴族社会において「夢」がどのように意識されていたかについて知る手がかりとして、当時の公務・儀式などの身辺の出来事を子々孫々にわたる知的共有財産として残した漢文日記に注目し、主に『源氏物語』と執筆時期の近い『御堂関白記』『権記』『小右記』に見られる藤原道長に関する「夢」の記事を中心に提示しつつ検討した。, 光源氏のモデルの一人として挙げられる藤原道長を取り巻く「夢」のあり方に焦点をあてることにより、『源氏物語』「明石物語」における幸いの論理がより鮮明に見えてくることを論じた。}, pages = {41--59}, title = {明石一族を取り巻く「夢」 : “夢実現の共同体”の視座から}, volume = {50}, year = {2014} }