@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000436, author = {岩井, 茂樹}, journal = {日本研究}, month = {Mar}, note = {現在、日本では、「痴漢」による被害が多発しており、一つの社会問題となっている。とりわけ電車内における被害が多いようだ。その対策として「女性専用車両」が多くの沿線で設けられたりもしている。, にもかかわらず、「痴漢」に関する研究は非常に少ない。とりわけ文化的なアプローチをとったものは皆無に等しい。本稿は、「痴漢」に関する語義変化の時期の確定と、読みや表記に関する変化について考察するものである。本来「痴漢」は「おろかな男」という意味であり、それ以外の用法はなかった。それがある時期から現在のような性的な意味を含むようになり、現在では原義での使用例はまったくといっていいほど見られなくなっている。, 先行研究によれば、こうした語義変化は二十世紀になってからの現象であるという。そこで本稿では、明治時代以降の雑誌・新聞記事、小説、辞書類などを分析対象として用い、「痴漢」の語義と読み、表記に関する変遷過程を明らかにした。, 分析の結果、一八九〇年代以前は、性的な意味合いはほとんどといっていいくらい希薄であった「痴漢」という語が、一九〇〇年前後から徐々に性的な意味が付与されてゆき、一九三〇年代に現在のような意味になったということが明らかになった。それが社会問題化し、盛んに論じられるのは一九五〇年代以降であること、一九六〇年代以降は小説などでも「痴漢」が頻繁に描かれるようになること、なども明らかになった。, 読みに関していえば、原義が主流だった時代は、「痴漢」を「ちかん」とは読ませず、「しれもの」などの訓読みがルビとして振られていたが、性的な意味に変化した頃から音読みである「ちかん」が主流になっていくようだ。, 表記は一九九〇年代半ばまで「痴漢」と漢字で書くのが普通であったが、ポスターなどで用いられるようになると、最近では「チカン」とカタカナで書かれる場合も多くなってきた。, 本稿は以上のような「痴漢」に関する事項を具体的な例を挙げながら論じたものである。}, pages = {147--181}, title = {「痴漢」の文化史 : 「痴漢」から「チカン」へ}, volume = {49}, year = {2014} }