@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000486, author = {上野, 勝之}, journal = {日本研究}, month = {Oct}, note = {平安事祭の貴族宅の年中恒例行事でありながら古記録では散発的にしか記載されない宅神祭、宮咩祭という二つの祭祀がある。本研究では、摂関期と院政期の古記録記事の比較及び古記録と仮名資料の記事内容の比較対象により両祭祀の実態を明らかにするとともに、両祭が古記録に記載されたのはいかなる場合であったのかを検討し、古記録における記載対象の選択について考察を加える。, 宅神祭については、摂関期の古記録に四例の記事が見られ、同時代の和歌資料を加えて四月一一月の下旬に家内の繁栄・安穏を祈願し屋外で女性が行う祭祀であることが判明した。一方、院政期の古記録には五例の記事があり、祭日は四月一一月の晦日となり、竈を祭祀対象とすることが記され、和歌によっても竈祭祀である点が裏付けられる。また古記録記事の多くは通常と異なる異例記載であると考えられた。今後は宅神祭の実体及び院政期の変化の要因、中世における祭祀のあり方について考究していく。, 宮咩祭に関しては、まず院政期の古記録からは正月一二月に行う摂関家の年中行事として定着していたこと、東宮や中宮でも祭られたこと、祭祀の性格としては神の形代として人形を使用することや、言葉遊びを多用する俗的な祝詞であるなど民間信仰的な側面が濃いことが伺える。翻って摂関期においては古記録の記載がないが、『枕草子』や和歌などから中級官人や受領層が祭っていたことが判明し、また上層貴族たちにも知られていたことや古記録の記主である公卿クラスの貴族宅で祭られていた可能性も考えられ、今後の検討課題である。, 以上のように、両祭祀の古記録記事からは、特に日常生活上の習俗といった事柄に関する古記録の記載には一定の選択が働いていたことが明らかになると思われる。}, pages = {399--405}, title = {<共同研究報告>古記録における宗教習俗の記載 : 記載対象の選択の観点から}, volume = {44}, year = {2011} }