@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000525, author = {東, 晴美}, journal = {日本研究}, month = {Nov}, note = {本稿では、歌舞伎の批評における近世から近代への転換について考察した。従来の劇評についての研究では、近代以降の戯曲を重視する立場から、歌舞伎の質的変化に連動して各時代の批評の性質が述べられてきたが、本稿では劇評の文化史という立場から出版ジャンルを整理する視点に立ち、分析を試みた。これによって、近世期の役者評判記を、劇を批評するために生まれた新たな出版ジャンルと位置づけ、容色本位の野郎評判記、技芸本位の役者評判記という性質の変化は、刊行頻度など出版物の性質の変化とも関連があることを明らかにした。また、近世期から近代への歌舞伎の批評の変化も、近世期の出版システムによる制約からの解放と、近代における新たな印刷技術や流通システムという出版物の性質の変化が影響していることを指摘した。これによって、役者ごとに批評する役者評判記から上演作品ごとに批評する近代の歌舞伎の批評に転換したことを明らかにした。, 近代の歌舞伎の批評は、戯曲を重視する傾向にあると従来の研究は指摘するが、近世期においても作品の筋や構成への関心はあった。この近世期の筋に対する関心が近代への戯曲評へと転換したとはいえ、近代になって戯曲以外の要素が軽んじられたわけではなく、近世の役者評判記にあった役者や道具の工夫などへの批評は継続した。近世においては、戯曲とそれ以外の要素が役者評の中で渾然一体となっていたのに対して、近代に入って戯曲が独立して批評の対象となったことこそが、大きな転換といえよう。そして、歌舞伎の批評が戯曲評ではなく舞台評であるが故に、戯曲解釈に基づく演技の「型」という近代的な批評の方法の中にも、戯曲を第一義におかない近世期の役者評判記の視点が残されたのである。}, pages = {359--375}, title = {<共同研究報告>劇評ジャンルの文化史 : 近代への転換}, volume = {40}, year = {2009} }