@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000556, author = {目野, 由希}, journal = {日本研究}, month = {Mar}, note = {明治時代半ばまでの初等教育では、各地の郷土史と郷土の地理、土地の出身者などを教えるため、「史談」と呼ばれるテキストが使用されていた。また、蘭学者大槻盤渓が幕末に書いた、短い数多の随筆からなる日本中世・近世史『近古史談』が、明治期以降、世代を問わず、広い範囲の読者に愛好された。この『近古史談』は、美しく明快な漢文で書かれていたため、歴史や漢文を児童に教えるための教材としても採用された。他にも明治期には、宗教講話や名士の談話速記、歴史を論ずる随筆等が「史談」のジャンルとして意識されていた。, 初等教育教材としての「史談」は、明治三三年以降はほとんど使われなくなる。その後、大正期以降、「史談」で郷土史教育を受けた児童達は、各地で「史談会」を結成し始める。アマチュア歴史家達が、公共の図書館や博物館を利用して郷土史研究を行う「史談会」活動は、現在に至るまで重要な日本の郷土史研究形成の基礎である。, 大正期以降の「史談」は史談会刊行物が中心となり、宗教講話や談話速記を「史談」ジャンルに含めるケースはなくなってゆく。昭和期以降は、伝記や回顧録が「史談」の主要な用例に加わる。, 以上、明治期の「史談」は、歴史・文学・修身等を含む広義の「文学」概念の一部であったのだが、初等教育の方針変更、また郷土史研究における用例での特化が進み、二〇世紀初頭から、「歴史」「文学」といったメジャーなジャンル概念から外れてしまう。ちょうどその頃が、広義の「文学」概念が全体的に変容する時期である。}, pages = {315--327}, title = {<共同研究報告>明治「史談」、その読者}, volume = {37}, year = {2008} }