@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00006223, author = {木村, 汎}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Jul}, note = {本論文は、厳密にいえば、「研究ノート」に分類されるべき内容を含んでいる。というのは、「交渉(negotiation)」の研究は、わが国ではなぜか学問的市民権を十分獲得するにいたっていないからである。交渉というと、なにか商店の軒先きで大根やみかんを値引きしたり、労使の間で相手側を罵倒せんばかりにして賃金交渉を己れに有利に導こうとする胡散臭い行為と見なされている。ところが、欧米諸国では、事情は異なる。交渉は、極端にいえば、権力関係と同じく、人間が二人いるところに必ず発生するといってよい紛争や対立を、平和的に解決しようとする重要な人間行為の一つとして、学術的な研究対象とされてきている。その意味において、交渉研究において先輩である欧米の学説をまずなるべく公平かつ忠実に紹介することに意を用いた点において、本論文は「研究ノート」と見なされるべきである。  しかし、他方、欧米学界における諸説を紹介するといっても、その問題点の選択の方法や整理の仕方において、筆者の主観的な好みが混入してくるのは不可避である。そればかりではなく、種々の学説に対する最終的評価等において、筆者は自己の価値判断を示した。その意味においては、本論文は、良くも悪しくもたんなる「研究ノート」の域を超える内容となっている。  ともあれ、筆者は、序論において、冷戦終了後の今日、紛争の平和的な解決を目指す交渉の意義と出番が増大したとの基本認識を示し、その理由をさらに具体的に説明した。  「交渉とは何か?」と題する第一章においては、まず「交渉」とその類似概念である「外交」や「取引」との差異を検討した後、次いで真正面から交渉の定義そのものを下した。引続いて、交渉の構成要因を説明し、さらに様々な角度から交渉の種類を記した。  第二章「交渉をどう見るか」においては、交渉に対する二大アプローチの紹介を試みた。一は、「芸術(アート)」、二は「科学(サイエンス)」と見る見方である。両アプローチの特徴及び夫々の長短を論じた後、筆者は両アプローチを併用する第三のアプローチ、すなわち「芸術プラス科学」と見る見解を提唱した。  第三章では、文化と交渉との関連に真正面から取組んでいる。まず「文化」の定義、機能、種類について論じた後、いよいよ文化が交渉に及ぼす影響の検討に移った。この問題にかんしては、対立する二説がある。一は文化「懐疑論」、二は同「重視論」である。筆者は、その各々とその根拠を紹介した後、自らは第三説としての「折衷論」の立場に立つとの立場を明らかにして、その理由を述べた。交渉に対する文化の影響を過大にも過小にも評価しない立場にたつとともに、類似あるいは異なる文化に属する人々の間の交渉において文化が果たす役割ないし影響の程度や仕方についても、論じている。本論文は、最後に異文化交渉を成功裡に進める方法についても一言して、終了している。}, pages = {11--63}, title = {交渉研究序説(その一)}, volume = {14}, year = {1996} }