@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00006264, author = {田, 云明}, journal = {日本研究, NIHON KENKYŪ}, month = {Jun}, note = {空海の『性霊集』劈頭に置かれた「遊山慕仙詩」において、詩題は一見遊仙詩のように隠逸風であるが、内容は仏教的なものが少なからず含まれている。波戸岡旭氏はこの一首の構成や、出典、さらに創作動機及び主題などについて、従来の遊仙詩との類似を考察し、空海の「遊山慕仙詩」は仏教思想を説くものでありながら、本格的な遊仙詩であると主張した。これに対し、井実充史氏が「『文選』遊仙詩を踏襲した形跡はない。言及しつつ踏襲していないということは、意識的に無視あるいは排除したといえる」と異議を呈し、「形式・内容ともにまったく新たな遊仙詩を歌い上げようとする」空海の創作意図を強調した。両氏とも「遊山慕仙詩」と『文選』などに載せられた従来の遊仙詩との関係性について言及しているものの、入唐の経験によって渉覧できた中国本土の文学作品や思想界の動向から受けた影響については、十分に検討がなされていないと考えられる。, 空海の「遊山慕仙詩」はいかに仏教的なものを取り入れ、『文選』の遊仙詩を再構築したのか。それはすべて空海の独創により生み出されたものであろうか。本稿では、主に空海の帰国後の著述に表われた文学観を手がかりに、彼の文学創作の姿勢を把握したうえで、特に入唐時に目にとまった詩文や儒・仏・老の三教論との関連を視野に入れながら、「遊山慕仙詩」における『文選』遊仙詩の受容と超克を考察していきたい。空海の詩作を分析するにあたり、まず、『聾瞽指帰』と『三教指帰』及び『文鏡秘府論』を通して彼の文学観を把握する。次に、『文選』遊仙詩の内容と構成を明らかにしたうえで、「遊山慕仙詩」の内容、構成について分析を行なう。最後に、中唐詩僧・皎然の「短歌行」との関わりについて考察する。以上の考察を通じて、入唐の経験によって成立した文学観、三教論、および渉覧できた詩文が、空海「遊山慕仙詩」の創作に与えた影響を明らかにしたい。}, pages = {85--100}, title = {『文選』遊仙詩の超克 : 空海の「遊山慕仙詩」をめぐって}, volume = {53}, year = {2016} }