@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00006265, author = {小川, 仁}, journal = {日本研究, NIHON KENKYŪ}, month = {Jun}, note = {本論文では、慶長遣欧使節にマドリッドからローマまで通訳兼折衝役として同行し、後にその体験を基に『伊達政宗遣欧使節記』(1615年)Historia del Regno di Voxu del Giapponeを著したイタリア人シピオーネ・アマーティ(Scipione Amati 1583~1653)の手稿「日本略記」Breve Ristretto delli tré Stati Naturale, Religioso, e Politico del Giaponeを取り上げ、多くの引用が認められるルイス・デ・グスマン(Luis de Guzmán 1543~1605)著『東方伝道史』(1601年)Historia de las Misionesとの比較を試み、「日本略記」第一章、第二章に該当する「博物誌」(stato naturale)、「宗教誌」(stato religioso)における典拠の形態の分析を進めるとともに、そこからアマーティの著述意図の一端を考察していく。, まず第一章では筆者がコロンナ家に関する史料が網羅的に収蔵されているコロンナ文書館で発見したアマーティ関連文書を分析し、これまで経歴不詳としされてきたアマーティの経歴を詳らかにする。次いで彼の執筆した「日本略記」を分析し、十五世紀末の日本の政治状況を紹介しつつキリスト教の道徳観念が統治には必要不可欠であると論じた本著作を、献呈先であったボルゲーゼ家との関わりと結び付けて考察する。, 第二章ではアマーティが「日本略記」を執筆する際に引用したグスマンの『東方伝道史』を取り上げる。当該二著作を比較してみると、「日本略記」が半ば抜粋に近い状態で『東方伝道史』を引用していることは明らかである。とりわけ引用において特徴的なのは、グスマンの記述で仏教における「儲け」や「利得」といった文言が見受けられる一方で、アマーティのグスマンからの同一箇所の抜粋では、それらの文言のみが削除や別の記述に言い換えられている点である。, 筆者はアマーティの引用におけるこのような傾向を、「意図的隠蔽をテキスト内に巧緻に組みこむことで、日本における宗教のありようから、利得の絡まないキリスト教の理想をボルゲーゼ家に伝えようとした」として捉えた。そして以上の分析から当時の日本情報が来日経験のない著述家らによって書き換えられ、最終的な読者に伝わっていく過程を指摘した。}, pages = {101--126}, title = {シピオーネ・アマーティ著「日本略記」(手稿)における考察 : ルイス・デ・グスマン著『東方伝道史』(一六〇一)からの引用について}, volume = {53}, year = {2016} }