@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000634, author = {安武, 留美}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Mar}, note = {一八八八年夏、『婦人言論の自由』と題した翻訳本が出版された。翻訳者兼発行者は、アメリカの女性組織―女性キリスト教禁酒同盟(WCTU, Woman’s Christian Temperance Union)の支部として設立された東京婦人矯風会の役員佐々城豊寿であった。この翻訳本の原文は、一八八六年七月にWCTUの機関紙Union Signalに掲載されたエッセイで、新約聖書に出てくるパウロの言葉―”Let Your Women Keep Silence in the Churches (教会で語ることは、女性にとってふさわしくない)”―を、その歴史的、社会的文脈から切り離して普遍化するのは間違いであると主張するものであった。, 一九世紀の終わりに世界各地で活躍したアメリカ人女性宣教師の活動を支えたプロテスタント各教派の婦人伝道局は、教会及び伝道組織を牛耳る按手礼をもつ男性聖職者の支配下に置かれ、伝道事業に関わるアメリカ人教会婦人たちの言動は、パウロの教えを始めとする様々な拘束を課せられていた。この苦い経験に基づいて設立されたともいえるWCTUは、超教派の女性組織となること、また、「禁酒・節制(temperance)」という世俗的な目標を掲げることより男性聖職者の支配を逃れ、教会婦人による女性のための女性の組織となった。WCTUは組織拡大のためにそのミッショナリーを世界各地に派遣したが、来日したWCTUのアメリカ人女性ミッショナリーたちは日本人男女と自由に交流しようとし、アメリカ人女性宣教師とは異なる行動規範を第一世代の日本人女性キリスト者たちに示したのである。, 本稿は、佐々城豊寿が『婦人言論の自由』を翻訳・出版した歴史的文脈を解明しながら、アメリカ人宣教師が体現するプロテスタント書教派伝道局のジェンダー関係、また、そのジェンダー関係を超えようとするWCTUミッショナリーの活動が、近代国家建設が進む一八八〇年代終わりの明治期日本で新しい男女のあり方を模索した第一世代日本人キリスト者男女にどのような影響を与えたかを考察するものである。}, pages = {133--148}, title = {婦人言論の自由 : 宣教師とWCTUと東京婦人矯風会}, volume = {30}, year = {2005} }