@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00006950, author = {春藤, 献一}, journal = {日本研究, NIHON KENKYŪ}, month = {Mar}, note = {日本における動物愛護運動の流れを俯瞰して見ると、太平洋戦争を境にして、その前後で運動を展開した動物愛護団体が異なる。1948年5月に設立した社団法人日本動物愛護協会は、戦後初めて成立した動物愛護団体であり、本稿はこの戦後動物愛護運動の源流と言える協会の成立史を、同時代の資料から検証し、日本における動物愛護運動史・思想史の一端を明らかにすることを目的とする。, 第一章では、協会や、GHQ獣医課が作成した資料から、協会成立史における事実関係を整理する。協会の成立は従来、英米人有力者の夫人たち主導によるものと認識されてきたが、資料からは、協会は戦前動物愛護運動関係者をも含む8人の英米日人により企画され、GHQ獣医課が支援したことを一つの契機とし、英米人が後援する日本人組織として設立したことを確認する。協会の設立には占領軍や純潔犬、猟犬、動物園、競馬等に関係する人々が関与しており、協会の設立は多様な思惑の結節点として捉えるべきでもあろう。, 第二章では協会の理念を論じる。協会は、動物愛護運動を通じて、人々に他者への愛情をも養わせ、平和社会の構築に寄与すること、動物を保護し人が動物から得られる利益を拡大し、人も動物も幸せな社会の実現を図ることを会の趣旨として掲げた。これらは平和社会への転換、戦災復興という占領下の社会要請に配慮する形で提示されたが、戦争で浮かび上がった日本人の嗜虐性の克服や、動物の適正な取扱い方に関する知識の普及といった目的も背景にはあったものと考えられる。, 協会はこのような理念のもと設立されたが、1948年にガスコイン駐日英国大使夫人が指導的立場に立つことで事業の軸足は動物施療事業に移され、事業方針に関する見解の相違が顕在化する。しかし1954年になるとこの相違は表面的には解決し、協会では動物愛護精神の普及事業が推進されていくこととなった。, 動物愛護精神の普及により平和に貢献することを謳うことも、英米人の後援を得ることも、占領下において動物愛護団体を組織するためにはプラスに働く要素であり、そのために協会は多様な思惑の結節点となり得たものと考えられる。}, pages = {189--219}, title = {<研究論文>占領下における社団法人日本動物愛護協会の成立}, volume = {57}, year = {2018} }