@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000720, author = {楊, 暁捷}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Mar}, note = {日本の平安、中世から伝わる膨大な数の絵巻について、これまで美術学、民俗学、歴史学などの見地から多彩なアプローチがなされてきたのに対して、これを文学の作品として追求する研究は、いまだ十分に行われていない。この小論は以上の考えに立脚するささやかな試みであり、絵巻『長谷雄草紙』から一つのシーンを取り上げる。  双六の対局をもって鬼に打ち勝つことをクライマックスとするこの愉快な絵巻は、対局の場に向かう途中に通り過ぎる平安の街角の様子をその第一弾の絵の後半に描く。これまでの研究では、この場面はさまざまな文脈において紹介されてきたが、絵巻の内容との関連においては、あくまでも本筋からの脱線だと捉えられ、特別な注意が払われることはなかった。ここではまずこの街角の様子を構成する一つひとつの部分の内容と意味を他の絵や文字の文献を用いて詳しく追求する。魚や草履を売る店、牛を解いた荷車、子供たちと戯れる猿、高く突き出した柱松、それから油売の男。これら一つひとつの考察を通じて、この場面においてひとつの隠されたテーマを見つけ出すことに至った。それはもろもろの職人生活の様相を表したものである。  後には職人歌合に統合される職人の生活についての認識は、ほかでもなく「芸」をもってその核心としたものである。したがって街角の職人の描写は、この絵巻の重要な内容である双六の対局、そして百家の芸に精通するという長谷雄についての捉え方と重なる。絵巻「長谷雄草紙」は、一片の哄笑のなか、芸を武器にして鬼の武装を解いた平安、鎌倉の文人たちの活劇であり、街角の様子は、『和漢朗詠集』に収められた記長谷雄の漢詩の注釈から出発するこの話においての、絵巻作者の最大な創作である。}, pages = {95--116}, title = {芸と鬼のあいだ : 『長谷雄草紙』覚書}, volume = {21}, year = {2000} }