@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00007349, author = {岡﨑, 滋樹}, journal = {日本研究, NIHON KENKYŪ}, month = {Oct}, note = {本稿は、「畜産」と「台湾」という視点から、戦前農林省による資源調査活動の実態に迫り、政策との関わりによって調査の性格が如何に変わっていたのかを明らかにした。これまでの満鉄や興亜院を中心とした資源調査に関する研究では、調査方法そのものについて詳細な検討が進められてきたが、その調査がいかに政策と関わっていたのかという部分は検討の余地が残されていた。したがって、本稿では、まず調査を左右する政策立案の実態を検討し、その政策が調査に対して如何なる影響を与えていたのか、調査報告が如何に政策に左右されていたのかという、当時指摘されていた「政治的」な調査活動の側面に注目した。, 農林省が1934年5月に台湾で行った馬事調査は、台湾馬政計画の実施を見据えたものであり、実際の調査の主目的は、農林省から台湾総督府へ政策協力を依頼することにあった。政策を立案するために台湾の状況を視察することは副次的なもので、本調査で最も重視されたのは台湾総督府が如何に帝国馬政計画に参画してくれるのか、その意思確認であった。調査を担当した農林省佐々田技師による報告書は、既定の政策方針に合うように現地の様子が記されており、条件付きで今後の見通しを期待するような、巧みな文書構成が目立った。, また、本報告書は政策決議を問う調査会で参考資料として配布されるが、農林省の官僚をはじめとして、他の政府委員たちも全く関心を示すことなく、誰一人としてその報告書について発言する者はいなかった。まさに形式的に立案資料を残しただけで、それを参考にして政策を構想していくというものではなかったのである。, かかる政府内の動きは、戦前日本の政策立案過程の一端を示しており、官庁職員の行動規則と伝統的な作業方法は、政策立案と調査活動に重大な影響を及ぼしていた。調査活動を見る場合は、特に「政治的」な側面に注意する必要があり、資源獲得を見据えた対外調査なのか、あるいは政策協力を求める役人の出張であったのかは区別しなければならない。台湾馬事調査は、まさに既定の政策方針に左右され、資源調査という名目で実は政策協力を求めるための出張であったという、官庁職員の業務実態を示す典型例であった。}, pages = {63--90}, title = {<研究論文>「畜産」から再考する戦前日本のアジア資源調査 : 農林省・台湾馬事調査(一九三四年五月)を中心に}, volume = {59}, year = {2019} }