@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000787, author = {木村, 汎}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Sep}, note = {本論文は、「交渉研究序説(その一)」(『日本研究』、第14集、平成八年七月刊、11~63頁所収)の続編である。  交渉に影響を与える要因の数は、ほとんど無数である。およそ交渉行動様式に何らかの影響を及ぼすファクターは全て、交渉の規定要因とさえいえる。それでは際限がないので、思い切った捨象作業を行わねばならない。つまり、たとえ少々恣意的になろうとも、筆者自身が比較的重要と思うファクターに的を絞って論ずる他に方法がない。筆者自身は、交渉の規定要因として、「文化」、「構造」、「戦術」などが、とりわけ重要と考える。「文化」については、前号[その一]で検討を加えたので、今回は「構造」と「過程」の二つを採り上げ検討し、「環境」と「戦術」は次回まわしにする。  「交渉の構造」とする第一章においては、交渉当事者間の関係を論じた。そのような関係の中で恐らく最も重要なものは、「権力」関係であろう。権力の有無、大小は交渉の行方と結果に重大な影響を与える。このことは、率直に承認されねばならない。しかしだからといって、交渉において権力の多寡は、必ずしもオールマイティーの役割を果たす訳ではない。もしそうならば、なにも交渉を開始し、交渉活動に従事する必要はないこととなろう。また、権力をより少くもつ側がキャスティング・ボートを握ったり、「弱者の恫喝」が功を奏するケースを、うまく説明しえないであろう。このようにして、筆者は、権力関係が交渉を規定する大きさと限界の両方を検討した。続いて、筆者は、「利害」関係が交渉を規定する役割の大きさと限界についても、同様に論じた。  一九八〇年代に入ると、交渉を、権力や利害の「対立」関係を含むばかりでなく、「相互依存」関係に基礎をおく新しい関係を創り出すための「協調」努力を併せ有する人間営為、と捉える見方が出現するようになった。伝統的な交渉理論を継承するとともに、それを修正しようとするそのような新しいアプローチに共感を抱く筆者は、なかでもR・フィッシャー&W・ユーリーのBATNA理論をそのような試みの一つとして、やや詳しく紹介している。「交渉の過程」と題する第二章は、I・W・ザートマン&M・バーマンが提案し、今や通説として受け入れられている三分類法(――「診断」、「定式づくり」、「細部の詰め」の三段階――)を、筆者もまた適当かつ便利な分類として受け入れ、概ねその分類に従って叙述を展開している。}, pages = {225--257}, title = {交渉の構造と過程 : 交渉研究序説(その二)}, volume = {16}, year = {1997} }