@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000831, author = {高木, 正朗}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Jun}, note = {この論文の目的は三つある。連続した人口記録がある場合、第一に世帯と家族のライフサイクルの始まりと終わりとを境界づける良い方法があるか、第二に世帯構成の変化を測定する最善の方法は何か、第三に極めて短期間だけ居住して移動していく都市の下層世帯においても、家族周期が観察されるかどうかを探求することである。こうした課題を検討する素材として、一七世紀中期から一九世紀末にかけて作成された宗門改帳は最適である。  第一の課題については、たとえば、世帯の始まりは一人の成員が世帯主の地位についた(換言すれば相続あるいは分家した)時点であり、世帯の終わりはその地位を他の成員に手渡した(あるいは世帯が潰れた)時点であると定義してみよう。宗門改帳では世帯主を一番目に書き上げているので、世代間における世帯主の地位の移動すなわち世帯周期はすぐに発見できる。他方でこれと平行して、結婚に始まり配偶者の死亡あるいは離婚で終わる家族周期が展開されているので、これを追跡すれば、両サイクルの開始と終了およびその相互関係がはっきりする。  世帯構成は一年毎に変化するといっても過言ではない。また都市と農村の宗門改帳には、経済的、人口学的変化に応じてすべての形態の家族(核、直系、複合家族世帯)が出現するが、この変化をとらえる枠組みとしてハンメル=ラスレット、小山=スミス、リー=ジェルデなどの分類スキームが利用可能である。複雑でたえず変化する世帯の構造を漏れなくとらえる分類スキームとして、前記のどれが最適化を判断することが第二の課題である。そのさいに、宗門改帳は理想的な素材となることが示される。  三番目の課題を明らかにするために、筆者は鶴福院町に六年未満在住した世帯をすべて集めて簡単なデータベースを構築した。このデータから、筆者は全世帯の少なくとも七〇%が核家族のライフサイクルを辿るのではないかと推定した。このことの含意は重要である。なぜなら日本の研究者たちは、都市下層の人々は家族を形成し発達させる十分な基盤をもたなかったと考えてきたからである。  ここでは、一九世紀の奈良の二つの町とそこから七㎞離れた一つの農村(興隆寺村)の宗門改帳が使用されている。ところで、たとえ同じ身分に所属していても、資産の大きさ(と経営法)によって世帯には階層差があった。それでここでは、階層差を示す資産・家業情報をも利用して、宗門改帳に登録された世帯を三~四の社会階層に分類する。そうして各階層から典型世帯を選び一年毎の発展が追跡される。}, pages = {181--208}, title = {<共同研究報告>家族分類スキームと宗門改帳}, volume = {12}, year = {1995} }