@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000880, author = {クリステヴァ, ツベタナ}, journal = {日本研究}, month = {Sep}, note = {この論文が中心に扱うのは、平安時代と鎌倉時代の仮名日記文学である。その考察にはいろいろなアプローチを応用し、自伝形式としての日記文学の特徴と同時に、研究方法の問題も取り扱っている。  先ず、人称的言説に非人称的言説という問題を取り上げて、自伝文学が一人称の文学形式であるにも係わらず、物語言説の「一人称」が必ずしも文法的な一人称とは一致していないということを論じた。それに基づいて、自伝形式を特徴づける三つの審級―書き手、語り手、主人公―の関係を考え直したものである。  次に西洋の代表的な文学批評を紹介した上で、いわゆる「期待の範囲」(horizon of expectations)の問題を考慮し、同じく自伝文学と呼ばれていても、異なった文化伝統に根を降ろしているので、形式の基準がずれていることを指摘して、その主な違いの一つとして自我概念の問題を取り上げた。  以上のような前提に基づいて、日本と西洋との二つの自伝文学の伝統を比較した結果、共通点よりも、差異が多く出てくるので、直接的な比較研究の限定の問題を提起した。そして、その限定を乗り越えるには、どちらの「言葉」でもなく、「第三者」の理論的な言葉の応用が有益であると訴えた。  最後に、ジェラール・ジュネットの『物語のディスクール――方法論の試み』という本を「第三者」の言葉として使用しながら、日記文学と西洋の自伝文学における「時間」の問題を考察し、ジュネットの「方法論の試み」の延長の試みとして、日記文学のディスクールを特徴づける「待つ」の場面に適応する、もう一つの時間形式を提起したものである。}, pages = {27--53}, title = {一人称の文学形式 : 日本の日記文学とヨーロッパにおける自伝文学の伝統}, volume = {9}, year = {1993} }