@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000891, author = {青木, 孝夫}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Mar}, note = {近松門左衛門の『曽根崎心中』、とりわけその<道行>の場面の上演に即して、独自の他界観を検討した。それに拠れば、心中の道行には二つの位相があり、一つは相対死(あいたいじに)に到る過程、今一つは霊魂の結婚に到る死後の旅路である。  『曽根崎心中』の道行では、この二つの位相が言わば重ねられて上演される。死に極まる恋愛は、身体の死に到る過程がそのまま霊魂の一体化の過程として描写または具体化されている。「恋の手本」は死の門を通過して、「一つ蓮」と二人一緒に成仏することによって成就する。蓮の花咲く来世は単なる死者の国ではなく、仏教的に了解された浄土である。かく恋愛の理想と成仏とが、心中という情死を通して結びつき一体的に実現される。  その心中は、元来遊女の愛の誓いであるが、その真心を示すのについには命を懸ける点で、この観念は「一所二懸レケル命ヲ」武士の主従の<契り>と融合している。この<契り>は前世からの定めの約束であり、心中の道行は、この約束の成就の過程にして来世への往生の過程である。この時、情死は死に行く二人の恋心が誠であることの明かしである。}, pages = {55--70}, title = {『曽根崎心中』に見る<他界観>について}, volume = {8}, year = {1993} }