@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000893, author = {中西, 進}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Mar}, note = {この論文は『源氏物語』が『白氏文集』を比喩としてどのように引用するかを考察するものである。  一 「総角」における「生離別」は、まだ二、三歳の薫が大君と生別をする辛さによって白髪の老をさえ迎えるほどだということを訴えようとするものである。  二 「藤袴」における「代書詩一百韻寄微之」は元白の心の交流に似た感情を、玉鬘が蛍宮に寄せていることを言おうとするものである。  三 「橋姫」における「開元九詩書巻」は、薫の父への追慕が白の元へのそれとひとしいことを語ろうとするものである。  四 「暮立」は「賢木」「宿木」の巻にも引用されるが、これが「悲秋」の伝統を承けたものであるのに対して、「蜻蛉」における引用は、浮舟への思慕が白楽天の子の金鑾子の思慕にも匹敵し、六条院はさながら仏堂だという主張をしようとしたものである。  五 「宿木」における「贈内」は中の君の周辺に趣深い風景を与えると同時に六の君よりも中の君を妻と考える匂宮の気持を暗示するものである。  六 「篝火」における「虚侍御与崔評事為与於黄鶴楼置宴宴罷同望」はもし引喩として用いられたとしたら、登場人物の堪えがたい愁いを比喩しようとしたものになる。  七 「若菜上」における「庾楼暁望」は、紫の上に対する光源氏の思慕が、望郷の情に似たものであることを暗示する。  八 「宿木」における「官舎閑題」は、「晩桃花」ともどもに用いられ「紅梅」における「北亭招客」と三者によって「総角」の巻までもとり入れた構想による、匂宮と薫の結婚談を進行させる。  九 「須磨」における「香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁」は頭中将への光源氏の友情の厚さを暗示するものである。  十 「須磨」における「重題」(第三首)は、逆説的に望郷の念の強いことを表わす。  十一 「朝顔」における「重題」(第三首)は、常識的な負をかえって正とする感情の動きを暗喩するものである。  十二 「総角」における「重題」(第三首)は、「朝顔」と同じ試みの上に、薫における愛の遺恨と仏心への傾斜を語ろうとするものである。}, pages = {101--131}, title = {引喩と暗喩(七) : 源氏物語における白氏文集、「生離別」など}, volume = {8}, year = {1993} }