@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000919, author = {中西, 進}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Oct}, note = {この論文は『源氏物語』に引用された『白氏文集』がどのような比喩をなすかを考察したものである。  一 「絵合わせ」に引用された第一の「長恨歌」は負の感動を暗示する。同じく第二のものは幽明界の距りを訴えようとする。  二 「松風」に引用された「長恨歌」は、身分のいやしい女性が宮廷に近づいてゆくプロセスをなめらかにする。  三 「朝顔」に引用された「長恨歌」は故人思慕の大きさを強調する。  四 「初音」に引用された「長恨歌」は、明石の君への熱意を語り、明石の君を少しずつ宮廷に近づけようとする。  五 「常夏」に引用された「長恨歌」は、成句が、女主人公のシルエット像を強調する。  六 「若菜上」に引用された『白氏文集』は、楊貴妃的な「嬌」の一面を女主人公に与えようとする。  七 「若菜下」に引用された第一の「長恨歌」は、栄華を批判し、第二のそれは夫婦の愛を強調し、第三のそれは楊貴妃をかりて、光源氏が紫の上のたった一人の男性であったことを強調する。  八 「柏木」に引用された「長恨歌」は、風景を人事の象徴に見立て直す役割を果たす。  九 「横笛」に引用された「長恨歌」は、幽明界を結ぶ道具をなす。  一〇 「幻」に引用された一連の「長恨歌」は筋の展開の基本に組み込まれており、光源氏物語の首尾照応を果たす。またその後に引用された「長恨歌」は、決着後の点景としてのあわれを物語る。  一一 「総角」に引用された「長恨歌」は女主人公の故人思慕の強さをいうためのものである。  一二 「宿木」に引用された一群の「長恨歌」は、主人公の故人思慕の宿命を語る。  一三 「東屋」に引用された第一の「長恨歌」は主人公の恋愛が母恋にあることを明らかにし、第二のそれは「長恨歌の二面――快楽と苦悩とを二人の主人公に分与する。  一四 「蜻蛉」に引用された「長恨歌伝」は女主人公の逆説的造型をなす。  以上の引用は光源氏物語では語句を比喩として用い、宇治十帖では故事を比喩として用いるというようにことなる。  また他の白詩にくらべて「長恨歌」は文中により深く埋没し、深層から訴えてくる比喩力をもつ。}, pages = {105--133}, title = {引喩と暗喩(五) : 源氏物語における白氏文集、「長恨歌」(二)}, volume = {5}, year = {1991} }