@article{oai:nichibun.repo.nii.ac.jp:00000946, author = {山下, 悦子}, journal = {日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要}, month = {Mar}, note = {この論文では、日本の知識人の間で大反響をもたらした、結婚制度にとらわれない男女の自由な性愛関係を理想とするコロンタイの恋愛観を基軸に、一九二〇年代後半から三〇年代前半にかけての知の変容(転向の問題)を探る。  ソヴィエトのコロンタイ女史の小説、『赤い恋』『三代の恋―恋愛の道』『姉妹』は、世界的なベスト・セラーとなった作品で、恋愛三部作といわれるが、一九二〇年代後半に日本でも話題となり、女性解放論者や文壇の知識人たちに取り上げられた。特に『三代の恋』の主人公ゲニアの、複数の男性と同時平行的に性愛関係を結び、けっして結婚を求めようとはしない、キャリア・ガールの恋愛遊戯が「新しい時代の新しい女の新しい恋」として話題となり、賛否両論が飛びかい、大反響をもたらした。当時の女性解放論者の山川菊栄、平塚らいてう、平林たい子、高群逸枝は、ゲニアの行為に対し、批判的であったのに対し、転向作家として著名な林房雄や武田麟太郎は、コロンタイの恋愛観を絶賛した。とくに当時、マルクス・ボーイだった林房雄は、『三代の恋』「姉妹」の翻訳までも手がけるほどの熱のあげかたであった。ゲニアを新しい女と絶賛し、それを批判する女性史研究家の高群逸枝との間にコロンタイ論争を引き起こした。  だが、一九三〇年代になると、マルクス・ボーイたちが次々に転向していく中で、林房雄や武田麟太郎も転向、新しい女とは対照的な貞節で、伝統的な日本の母親像=女性像を求めるようになる。}, pages = {107--124}, title = {コロンタイの恋愛論と転向作家たち : 一九二〇年代後半の恋愛遊戯}, volume = {2}, year = {1990} }